【アニメ×実写の金字塔】映画『ロジャー・ラビット』紹介【5つの魅力】

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©Disney/Amblin

 

今回はこのブログでメインに扱っている映画作品、『ロジャー・ラビット』をご紹介します。

 

 

『ロジャー・ラビット』とは?

『ロジャー・ラビット』は1988年公開のアニメと実写の合成映画。
アニメと人間が共存する世界が舞台のコメディです。

原題は『Who Framed Roger Rabbit』。「誰がロジャー・ラビットをハメたのか」という意味。

1981年のゲイリー・K・ウルフによる推理小説『Who Censored Roger Rabbit?』が原作。こちらは「誰がロジャー・ラビットを検閲したか?」という意味。

映画『ロジャー・ラビット』は、今までにない高い完成度でのアニメと実写の融合が話題となり、世界中で大ヒットしました。

東京ディズニーランドでもお馴染みのトゥーンタウンと、アトラクション「ロジャーラビットのカートゥーンスピン」の原作でもあります。

監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス
製作総指揮は『ジョーズ』や『E.T.』等を監督したスティーブン・スピルバーグと、『E.T.』等でプロデューサーを務めたキャスリーン・ケネディ

製作は、ディズニーの大人向け映画部門であるタッチストーン・ピクチャーズと、スピルバーグ設立の映画製作会社、アンブリン・エンターテインメント。

アカデミー賞4部門受賞作品。
編集賞、音響効果賞、視覚効果賞に加え、アニメーション監督のリチャード・ウイリアムズに特別賞が贈られました。

 

あらすじ

舞台は1947年のハリウッド。

多くの短編アニメ映画のキャラクターたちが活躍した、アメリカン・アニメーションの黄金時代。

トゥーンと呼ばれるアニメキャラクターたちは、トゥーンタウンという街に住み、俳優として映画作品に出演していて、人間と共存して生きています。


ある時ハリウッドスターのトゥーン、ロジャー・ラビットは、妻ジェシカの浮気疑惑に悩んでいました。
おかげで映画の撮影にちっとも身が入りません。

見かねた撮影所長は、私立探偵のエディ・バリアントにジェシカの浮気調査を依頼します。

しかしエディは大のトゥーン嫌い。トゥーンに関わりたくはありませんでしたが、お金が必要だったため渋々依頼を引き受けます。

そして調査の結果、ジェシカがマービン・アクメという人間の男と浮気をしていたことが判明。

エディが調査結果をロジャーに報告すると、ロジャーはひどく取り乱し、その場を飛び出してどこかへ行ってしまいました。

その翌日、なんとアクメが殺された状態で発見されます。そしてロジャーは容疑者に。

担当判事はロジャーを有罪とし、見つけ次第捕らえて死刑にすると決定。部下にロジャーの捜索を命じます。

追われる身となったロジャーはエディの元へ助けを求めに来ました。

エディはかつてトゥーンたちのために数々の事件を解決してきた探偵だったのです。

そしてロジャーは言います。殺しなんかしていないと。

しかしやはりトゥーンには関わりたくないエディ。ロジャーを追い返そうとしますが、ひょんなことから二人は共に行動せざるを得ない状況に…!

 

かくしてロジャーとエディは事件の真相解明に乗り出します。

果たして、追っ手に捕まるより先に真犯人を突き止められるのでしょうか…!?

更に事件の裏では、トゥーンタウン全体に危機が迫っていることが明らかになっていきます…。

 

キャラクター

ロジャー・ラビット

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

ハリウッドの人気者でトゥーンのウサギ。
いかにもトゥーンらしく、騒がしくてハイテンション。
人を笑わせることが生きがいで、ユーモアのセンスがないなら死んだ方がマシだと思っています。

 

エディ・バリアント

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

人間の私立探偵。
元々はトゥーンたちのことが好きであり、幾度もトゥーンたちのために事件を解決してきましたが、ある時トゥーンに弟を殺されて以来、トゥーンを嫌うようになり、仏頂面で酒浸りの生活を送っています。

 

ジェシカ・ラビット

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

大変セクシーなボディを持つロジャー・ラビットの妻。
クラブ歌手として男たちを魅了しています。

 

ドゥーム判事

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

アクメ殺害事件を担当することとなった判事。
トゥーンタウンを仕切っていて、罪を犯すトゥーンは容赦なく死刑にしてしまう非情な人物。

演じたのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役で知られるクリストファー・ロイド

 

イタチ軍団

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

ドゥーム判事の部下のイタチたち。ロジャーを捕らえようと探し回ります。
どいつもこいつも物騒な連中です。

 

ベビー・ハーマン

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

ロジャーの共演者。
スクリーンではかわいらしい赤ちゃんを演じていますが、中身は50歳のオヤジです。

 

ベニー・ザ・キャブ

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

ロジャーの友達のタクシー。
ロジャーたちを助けてくれる頼もしい存在ですが、おしゃべりで口が悪いです。

 

ドロレス

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』

バーを営むエディの恋人。
事件の調査についてエディに協力します。

 

魅力1:アニメと実写の見事な共存

『ロジャー・ラビット』の見どころは、何と言っても非常に完成度の高いアニメと実写の融合です。

これまでにも『三人の騎士』や『メリー・ポピンズ』などアニメと実写の合成作品はありましたが、『ロジャー・ラビット』はそれらと一線を画す革新的な作品となっています。

本作が作られた当時はまだ十分なCG技術がなかったため、CGは一切使わずに作られました。しかしその完成度は、CG技術が発達した2021年の今でも驚かされるほどです。

 

実在感のあるアニメキャラ

これまでのアニメと実写の合成作品では、アニメキャラクターは平面的に描かれていました。
複雑な濃淡がある実写の人間に対し、アニメはくっきりはっきりとした色合いで、両者が同じ画面内にいるとかなりの差異があったものです。

しかし『ロジャー・ラビット』では、アニメキャラクターに陰影が描かれ、そして立体感のための特殊効果が付け加えられており、合成がとても自然で違和感がありません。

アニメが実写から浮くことなく空間に調和しているのです。

言葉だけで表現するのは難しいですが、アニメキャラが完全にそこに"いる"と思える映像になっています。

 

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』
▲見よ!この馴染み具合を!

 

アニメと実写がガンガン絡む

『ロジャー・ラビット』ではアニメと実写の直接的な絡みがとても多いです。
アニメが実写の人間につかみかかったり、反対に人間がアニメを引っ張ったり、抱えたり…。

更にアニメキャラクターが実写の物を持ったり壊したりということも当然のように行われます。

極めつけはカーチェイスシーンです。
エディはアニメの車に乗って、本物の車(こちらはアニメが運転)とカーチェイスを繰り広げたりもします。

 

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』
▲アニメの車のベニーに乗って走るエディとロジャー

 

魅力2:会社を超えたアニメキャラの共演

『ロジャー・ラビット』ではトゥーンたちは皆、トゥーンタウンという街に住んでいます。
それはディズニーも、ワーナー・ブラザースも、ユニバーサル・スタジオも…どの会社のキャラクターも同じです。

そんな夢のような世界観の『ロジャー・ラビット』では、会社の枠を超えて様々なアニメキャラクターがカメオ出演していて、大きな見どころのひとつとなっています。

特にミッキーマウスバッグス・バニーの共演はアニメーション史に残る瞬間だと言えるでしょう。

 

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』
▲スカイダイビングをするミッキーマウスバッグス・バニー

 

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』
▲ドナルドダックとダフィー・ダックの共演も

 

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©Disney/Amblin|出典:『ロジャー・ラビット』
▲一堂に会するトゥーンたち

 

魅力3:ディズニーだけどワーナー風

『ロジャー・ラビット』のギャグはドタバタがだいぶ激しめです。
トゥーンはリアクションがオーバーですし、アクションも部屋の中を跳ねまわったり、壁を突き破ったり、吹っ飛んだり…。

実写の俳優もそれにつられてドタバタ…。

これらが目まぐるしく繰り広げられる様はまるでワーナーの短編アニメのようです。

『ロジャー・ラビット』はディズニー作品ですが、中身はワーナーアニメのテイストになっています。
そのスピーディーで激しいギャグがたまらなく楽しいのです。

 

魅力4:コメディとシリアスの融合

『ロジャー・ラビット』のストーリーはミステリー仕立てです。
コメディ映画でありながら、骨太でシリアスなストーリーが展開されます。
単に映像がすごいだけではなく、ストーリーもしっかりしています。

しかしやはり本作の本質はコメディです。
実写世界はなんとも渋いフィルム・ノワール(1940年代~1950年代のアメリカの犯罪映画)風ですが、そんな中でトゥーンによるスラップスティックなギャグが次々炸裂するというギャップが最高です。

主役であるロジャーとエディの凸凹コンビぶりもまた秀逸。
いつもぶすっとしているおじさんが、陽気で騒がしいロジャーに振り回される…。
そんなの面白いに決まってるじゃないですかという感じです。

 

魅力5:実はブラックで大人向け

たくさんのアニメキャラクターが現実世界に現れる…そんな夢のような映像作品である『ロジャー・ラビット』は子供も大いに楽しめる作品です。 

しかしこの作品、実際はなかなかに大人向けです。

ストーリーは浮気疑惑から始まり、主軸となるのは殺人事件。
喫煙・飲酒をするキャラクターや物騒なキャラクターも多く、時には下ネタも炸裂します。
そしてなかなかにクレイジーなトゥーンたち…。

決して良い子のためのアニメではありません。まあ良い子が見ても楽しめますが。

本作はディズニー作品ではありますが、ファミリー向けのディズニー映画のつもりで見ると面食らうことになります。

ディズニーだということはいったん忘れるくらいがちょうどいいのかもしれません。

大人こそ真に楽しめるブラックな魅力を持った作品です。

 

おわりに:『ロジャー・ラビット』は本当にすごい

『ロジャー・ラビット』は娯楽映画の傑作であると共に、本当に素晴らしい芸術的作品だと思います。

徹底的にこだわられたアニメキャラの立体感、アニメを実写の物や俳優と多く接触させる試みなど、手描きアニメと実写の合成作品で、ここまでアニメが実写の中に自然に溶け込んでいると思える作品はそうそうありません。

『ロジャー・ラビット』の後にも手描きアニメと実写の合成作品は作られていますが、アニメが実写に違和感なく馴染んでいるかどうかという点でいえば、2021年の現在でも未だに『ロジャー・ラビット』はトップの完成度だと思っています。特にアニメにつけられた影と暗さの表現は本当に見事です。

本作の夢のような映像からは、映画スタッフたちの技術力の高さと、すごいものを作ってやろうという強いこだわりと情熱を感じます。

そして映像以外にも魅力があることはここまでに紹介した通りです。


『ロジャー・ラビット』はディズニー作品としてはマイナーと言われてしまっているのが実状ですが、アニメと実写の合成作品としては最高峰であると共に、今後も語り継がれるべき作品だと思います。

 

▼『ロジャー・ラビット』25周年記念版Blu-ray 予告編


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